2016年7月26日火曜日

脊髄損傷について 

こんにちは。お久しぶりですTORIALです。
しばらくブログを放置しててすみません。本当ならそれも色々書く所ですが今回は省略させていただきます。

今回はタイトルにもあるように、脊髄損傷について少し書かせてもらいます。
ニュースにもなってるのでご存知かと思いますが、自民党の谷垣禎一幹事長が先日サイクリング中に転んでしまい頸髄を損傷してしまったようです。
私も場所が違いますが胸椎を骨折した過去があるのでとても心配です。
まだ情報が少ないので谷垣さんが実際どうなのかは置いておきます。
今回は脊髄損傷ってどんな怪我?どんな問題がおきるの?ということについて書いていこうかと思います。

※お断り 私は医学の専門家でもなんでもないので正確な情報は保証できません。あくまで私が知りうること、見てきたことです。もし本当に正確な情報が必要な場合は各医療機関で聞いてください。このブログでの情報の精度は保証はいたしません。また責任も負いません。

・脊髄損傷とは
まず脊髄損傷とは脊椎の骨折などにより、その中にある脊髄を損傷することです。
簡単に言うと脊椎=背骨(首の骨も含む)、脊髄=背骨の中を通ってる神経です。
脊椎は大きく分けると3種類に分かれてます。

図はウィキペディアよりhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%84%8A%E6%A4%8E
首の部分が頚椎(図の赤の部分)、胸のあたりが胸椎(図の青の部分)、そこから下の腰の部分が腰椎(図の黄色の部分)です。
で、どこの脊髄(神経)を損傷するかで呼び方が変わります。
首のあたりなら頸髄損傷、胸の所なら胸髄損傷、腰なら腰髄損傷。脊髄の損傷ではなく単にそこの骨の骨折なら頚椎骨折、胸椎骨折、腰椎骨折と呼ばれます。よく自動車の自己などでなるムチウチとは頚椎捻挫です。骨折の手前です。
脊椎(背骨)の中に脊髄(神経)が通ってるのでもしその中の脊髄が損傷してしまうとそこから下の神経伝達に多大な影響を及ぼしてしまうので非常に危険な怪我です。

・脊髄損傷するとどうなる?
問題は非常に多く発生しますが、今回は主に身体的な部分を書こうと思います。

・運動障害、麻痺
まず起きて分かりやすい障害が運動障害、運動神経等の麻痺です。
基本的に脊髄を損傷してしまうと、損傷したところから下の部分全てに影響が出てしまいます。頸髄損傷の場合は首から下全てに影響が出てしまいます。
もちろん損傷が軽微な場合はリハビリで回復する場合もあります。しかし現代医学では脊髄が損傷してしまった場合は修復は不可能です。

脊椎の下の方から説明していきます(腰椎→胸椎→頚椎の順です)
一番下の腰髄だったとしても損傷が大きければ下半身が麻痺して歩行することができなくなり車椅子での生活になります。

胸椎は広いので影響の幅も大きいのですが場合によっては下半身だけではなく、胴体も麻痺します。

頸髄損傷は最も深刻です。損傷が激しい場合、首から下がすべて動かすことができなくなります。
動かすことができなくなるだけならマシな方で最悪の場合は呼吸する筋肉も自力で動かせなくなり死亡する危険もあります。
そして脚、胴体はおろか手も満足に動かせなくなる可能性があり普通の車椅子ではなく、電動車椅子での生活になるかもしれません。もし手も動かせないとなると例えば顎や舌を使って操作するものになります。

そしてここまで運動神経の麻痺と書きましたが、実際には運動神経だけでなく感覚神経にも影響があることが多く、触覚や痛覚、温度感覚も失う可能性があります。
温度感覚を失うと熱湯やストーブなどの熱源を気が付かず触って大やけどになったり、体温調整が上手く出来ずに熱中症、低体温症などになったりする危険が増えます。

・排泄障害
上の部分はなんとなく分かる方も多いかと思いますが、ここからは実際に怪我した人やその家族ではないとわからないかもしれませんね。
上で運動障害が起きると述べましたが、それはつまり筋肉をうまく動かせなくなることです。それはつまり排泄行為(小便や大便)も自力で行うことが困難になる場合があります。
小便に関しては自力でできない場合は尿道カテーテルを使っての排泄になります。私も入院中はそうでした。ずっとカテーテルを入れてるなら、これをつけてる間は移動する場合、ずっと尿が入った袋を車椅子などと一緒に持って歩く必要性が出てきます。そうでない場合は自己導尿といって自分でカテーテルを使って排尿する必要があります。でもこれはマシな方です。

問題は大便です。大便が自力で行えない場合は摘便という医療行為が必要になります。
どんなことをするかというと、他人に肛門に指を突っ込んでもらって便を掻き出してもらう行為です。もちろんこれだけでは全部出すのは無理なので薬などを使って強制的に腸や便を動かしたりして補助する場合もあります。(もし運動神経に障害が出てても痛覚が残っていた場合はかなりの苦痛です)
他人にやってもらわない場合は摘便棒などの補助具を使って自分で道具を肛門に入れて掻き出す必要があります。
また感覚を失っていると尿意や便意もわからなくなってしまう可能性も高く、そうなると外出するときの大きな障害になってしまいます。

・性行為障害
察しの良い方なら排泄障害が起きてる時点でお気づきかと思いますが、下半身が麻痺するということは同時に性行為も困難になってきます。
運動麻痺があるから、だけじゃありません。感覚神経も失う(もしくは鈍くなってる)場合は男性なら射精障害になる可能性があります。女性の場合は妊娠そのものは可能なケースが少なくないようです。自然分娩もケースバイケースですが可能なようです(ただ帝王切開の方が多いようです)
ただし、性交そのものや射精が困難な場合は人工授精なども必要になります。
こちらも隠れがちな問題ですが脊損患者にとっては非常に重大な問題です。

・後書き
簡単に3つほど書かせていただきましたが如何だったでしょうか?
単に脚などが動かなくなって車椅子生活になるっていう認識の人が多いと思いますが、実際はもっともっと多くの問題があります。今回は身体的な問題を少しだけ書きましたがもちろんそれ以外も見ればリハビリや家庭、仕事などなど・・・とてもじゃないけど書ききれません。
また私は胸椎を4つほど圧迫骨折したのですが、手術をしてくれた先生曰く「奇跡」だそうです。今現在、歩行したり自転車に乗ったりほぼ問題なく生活出来てます(ただし感覚神経や温度感覚には今でも少し異常があります)
私は非常に稀なケースで、入院した病院では私のように回復できない人を非常に多く見ました。そしてその患者は私と同世代(当時23歳)からご老人まで非常に幅広く居ました。
特に若い人の場合は殆ど事故でそうなります。そして事故とは突然、そして平等に誰でも起きてしまう可能性があります。気を付けてもどうしようもなく巻き込まれることもあります。
こうならないように気を付けて・・・というのは簡単ですがすべて防ぐのは無理です。
しかし知らないより知っておいた方が良いでしょう。そしてそうならないように考える事は無駄ではないでしょう。
今回、怪我をされた谷垣さんですがつい先程ニュースでもやっていましたが回復の見込みは全く不透明だそうです。
私のように奇跡が起きてくれれば、戻ってきてくれるかもしれません。
谷垣さんは政界きっての自転車好きで、自転車乗りです。
ぜひともまた戻ってきて元気な姿を見せて欲しいです。
ご回復をお祈りしてます。

※繰り返しになりますが私は専門家ではありません。正しい医療知識は専門機関の専門の医者にお尋ねください。このブログでの情報の精度は保証はいたしません。また責任も負いません。