2013年7月7日日曜日

ツール・ド・フランス 2013 第8ステージまとめ

Bon soir! TORIALです。

今日は第8ステージ。195kmの山岳ステージで、いよいよピレネー突入です。



今日は超級山岳を超えたら1級山岳があり、山頂ゴールになってます。
そのため、総合だけでなく山岳賞狙いの選手の動きも気になります。

いつもの様に序盤から逃げが決まりました。
フーガランド、モラード、リブロン、マリノの4人が逃げます。
タイム差は残り85km地点で6分以上まで広がりますが、今日はご覧の様に超級、1級と山岳があるので登りに入って、総合勢などが動き出すとすぐにタイム差は消されてしま​います。

中間まではとりあえず逃げつづけ、フーガランド、モラード、マリノ、リブロンの順で通過。
メイン集団では、またキャノンデールがトレインを組み積極的に引きます。
上手く運んでサガンを発射かと思いきや、サガンの後ろについていたグライペルが先に仕掛けて、上手くやり5位で通過。
しかしサガンもグライペルの後ろに付き6位通過、ついでカウ゛でした。
グライペルは僅かにサガンとのポイントを詰めましたが、まだpt差あります。
サガンは無理に1位を取らなくても、2~3位で手堅くポイントを取りこぼさなければジャージを失う危険性は少ないので今後はどうするんでしょう?
他のチームは何とかサガンに攻撃したいはずですが、下手をすれば昨日のようなキャノンデールの攻撃を再びされてしまうので難しいところです。

残り57km地点から、スカイ、サクソ、ベルキン、モビスターがトレインを組みペースを上げ始めます。
そうなるとどんどんタイム差は縮まり、残り48km地点で2分差まで縮みます。
そのため、逃げ集団でもフーガランドがアタックしますが決まりません。
フーガランドはダメでしたが、上り口の残り44km地点でリブロンが仕掛けて、一人飛び出していきました。
なお、メイン集団ではいつもの様にグライペルやカウ゛などのスプリンターが遅れていきグルペットを形成したようです。

飛び出したリブロンは粘りますがタイム差は約1分まで縮んできました。
そうなると、集団からは飛び出す選手が出て起案す。
40km地点では、ヘーシングが飛び出し、39km地点ではヴォクレールが飛び出しました。
38km地点でリブロンの集団との差は1分28秒、遅れること48秒でヘーシング、1分でヴォクレールとなります。
そして、去年は病に伏せてツールには出場?できなかった悪魔おじさんですが、今日は37km地点で確認しました。
元気になってよかった!!(また、どこだったか忘れましたが、子供の悪魔、小悪魔?子悪魔?も居ましたw)

また、この頃からスカイが集団をコントロールし、キリエンカが表情一つ変えず、一人で、ただひたすら淡々と、そして恐ろしい速度で引き続けます。
去年はモビスターに居た選手ですが、一人淡々と、一切ペースを崩さずに走り続け、一人チームスカイなどと言われてましたが、今年は本当にスカイに移籍しました。
チームの戦術と、選手の特徴が完璧にマッチしてるので恐ろしい活躍を見せてくれます。

その結果、ヘシェダルやタラマエなども遅れていきます。
しかし、そんなペースの中飛び出した選手がいました。
モビスターのクインターナです。
あっという間にヴォクレールに追いつくと抜き去り、更にはヘーシングもかわして行きます。
なお、このクインターナの走りを見たヴォクレール社長はやる気スイッチがOFFになってしまったようでどんどん下がり、ついには集団からすら千切れていきました…残念。

スカイのキリエンカの鬼引きで集団はどんどん小さくなります。
33.9km地点ではヘーシングが吸収されていきます。
また、先頭ではクインターナがリブロンに追いつきました。
リブロンは何とかクインターナについていこうとするものの結局、付いていけず下がっていきます。
この時点でのタイム差は43秒です。

そして、32.9km地点で今度はローランが飛び出していきます。少し遅れてアントンも飛び出していきました。
ローランはこの山岳でポイントを稼げば再び山岳賞ジャージの可能性もあるのでそのための動きでしょうが、総合はどうするんでしょう?
山岳狙いのヴォクレールがダメだから、ローランが山岳に変更?
ヴォクレールはステージ狙いにでもするのでしょうか?

31.8km地点でローランがリブロンを抜きました。
そして31km地点でクインターナ先頭、次いでローランが40秒遅れ、その後にアントンという形になります。
しかしアントンはこの後吸収されていってしまいました。
なおこの頃、キリエンカは仕事を終えて下がっていったのですが、新人賞に期待がかかるヴァンがーデレンが集団から遅れていきました。

結局、超級山岳はクインターナ、ローランの順で通過。
山頂手前で、エウスカルテルのニエベが飛び出し、何とか3位通過していきます。
エウスカルテルは山で活躍したいチームなので本当はアントンで1位通過したかったでしょうが、できなかったので何とか3位は守りたいという意思だったんだと思います。

ここからは約20kmの長いダウンヒルです。
ここで、相変わらずSKYが良いペースで下っていきます。
なおこの、下りで総合に期待がかかるティボ・ピノーが遅れていきます。
どうやらハンガーノックになってしまったのかまるでペースが上がりません。
しかもこの後、メカトラもあり大きくここで後退してしまいます。

残り8.8km地点でタイム差は22秒
ここでローランが、クインターナに追いつき合流します。
そして最後の1級の上りに入っていきます。
このまま2人で行くかと思いきや、ローランがついていけません。
それを確認するとクインターナはちょっとダンシングして加速したらシッティングでスイスイ。
あっさり置き去りにしていきました。

残り7.2kmで結局ローランは結局吸収されます。
この頃からスカイは最後の、そして最強のアシストのリッチー・ポートが引き始めます。
このペースもとてつもなく早く。
アンディやエヴァンスなどがまず遅れていきます。
6.3km地点ではアントンやルイコスタも遅れ、メイン集団だったものはフルームやコンタドール、バルベルデなどのほんの数人になってしまいました。
5.9km地点ではテンダムや激坂の名手ホアキンも遅れていってしまいます。

懸命に逃げたクインターナですが残り5kmでついにポートたちに吸収されていきます。
そしてこの頃から、コンタドールが遅れ始めました。
そして、それを見て動いたのは何とフルーム。
一気に飛び出していきます。このアタックにはだれも付いていけません。
そのままどんどん差を広げていきます。
そして、それまでアシストしていたポートも周りの動きが鈍いことを感じると、何と4.5km地点で自分もペースを上げていきます。
本来なら、これはあまり良くない(チーム無いの下克上の危険もある)
しかし、フルームのペースはポートより遥かに速いので、チーム的に他の選手を圧倒し、心を折るためにもその許可が出たのでしょうか?
こればっかりは推測なのですが、事実としてポートが他を置き去りにしてペースを上げていきました。

そのままフルームは完全に独走状態。
しかも、かなり追い込んだ走りを見せます。
頭から水をかけ、歯を食いしばり、ひたすら回していきます。
恐らく心拍強度は90%を超える無酸素領域に入っている強度だと思います。
ゴールを目指し、まるで獲物を追う狼のように獰猛に加速して行きます。

残り1km、フラムルージュを過ぎるこの時点でも十分なタイム差があるにも関わらず、フルームはダンシングして更に加速していきます。
あっという間に残り500mを過ぎると、最後まで決して踏むのをやめず、ガッツポーズをする素振りすら見せず走り続けます。
そのまま独走、完全勝利でゴール。
そしてゴールラインを超えてようやくガッツポーズを見せました。
1秒たりとも無駄にせず、徹底的に相手からリードを奪う超攻撃的な走りでした。
なお、フルームの最後の山岳での、この走りですが過去のデータと比較するとランスの時代より約2%速く、ここ4~5年では4.5%も速く上ったそうです。
何という身体能力、そして精神力と闘争心でしょう。

この圧倒的な走りの前に、結局2位になったポートですら51秒遅れ、ポートを必死に追ったバルベルデでも1分8秒遅れ、コンタドールは1分45秒、エヴァンスは4分36秒​も遅れてしまいました。
もう、ライバルは意気消沈ではないでしょうか。
ちょっと圧倒的過ぎました。

その結果、フルームは当然マイヨ・ジョーヌを獲得したのですが、最後の1級を1位で通過し、その前の超級を実は6位で通過していたので、持ち点1ptと合わせたポイントは​
1 + 10 + 20 = 31pt
となり、一方で超級を2位通過したローランは持ち点の11ptに加えて20pt獲得し
こちらも31ptとなりポイントが並びました。
規定により、ステージ優勝してるフルームの方に優先権があるため、何と山岳賞もフルームです。(ただしフルームはマイヨ・ジョーヌを着るので繰り下げで、明日はマイヨ・グ​ランペールはローランが着ます)

今日で、フルームの総合優勝がかなり濃くなってきたと思います。
本当に圧倒的な走りでした。
しかし、この走りを見て思ったのは、無理だとは思いますがフルームがマイヨ・ジョーヌのみならず、同時にマイヨ・グランペールも獲得してくれないかという風に思いました。​
私はクライマーなので山を征するものが全てを征すというのを、見てみたいんですよ。
もし、それが見れるならクライマーの一つの目標になると思いますから。

明日以降のステージも楽しみですが勢い止まらないと、何か明日も更にリードを広げてしまうような・・・

では、今日はここまで。
Bonne nuit!

P.S
ちなみに、今年もフルーム節は健在なようでゴール後のインタビューでライバルは誰かと聞かれたときに「リッチー・ポートだよ!」と答えたそうですw
いやー、ウィギンスとは違って(※批判してるわけじゃありません)TV的には非常に面白く、ネタになるキャラですねw

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