2013年2月28日木曜日

アルミとカーボン

最近、カーボンについてちょっと調べてます。
私が自転車に乗り始めたときはカーボンがようやく普及し始めたころでした。
とはいっても、今ほど安くはなく中華カーボンなんかの入手ルートも限られてたので買うとなるとそれなりのお金が必要でしたが、まったく届かないというものではありませんでした。
それから7年がたちましたがかなり普及しました。
初めてのロードバイクがカーボンという人も珍しくはないでしょう。
そんな一般的な素材でありながら私は少し前まであまりカーボンという素材を信用してませんでした。
高価なので私には手が届きにくいというのもありましたが、耐久性に不安があったからです。
広く採用されてるので大丈夫だろうという考えもありましたがそれでも少しの不安があり結局ずっとアルミを使ってきました。
今でも、多少不安はあります。どこでもかしこもカーボンにすればいいという考えはありませんが、全体的に見たらカーボンを採用した方がいいという考えに変わってます。
これはカーボンについて色々と知識が増えたこともありますが、それ以外にもアルミについての知識も増えて、その結果アルミの信頼が私の中で少し落ちたためです。
今では私の中に
アルミ=耐久性が高い
という図式は存在しなくなりました。 なぜ存在しなくなったか?
それはアルミが疲労限界点を持たないという特性があるからです。
何度かこのブログでも書いてますが、改めて説明すると多くの金属には疲労限界点というものが存在し、その限界点を超えた負荷がかからない限り金属疲労は進行しないという風になってます。
鉄なんかはそれが非常に優秀で疲労限界点が高いので金属疲労が起こりにくく耐久性が高くなります。
しかしアルミには困ったことにこれがありません。
じゃあどうなってるのか?常に疲労が蓄積していってるのです。
無いというより、疲労限界点の位置が限りなくゼロに近いといった方が良いでしょうか?
とにかく使う限りどんどん金属疲労が進行していきます。
なのでアルミは必ずいつか金属疲労で壊れます。鉄だったら限界点を越えない限り進行しないのでいつまでも大丈夫ですがアルミはそうではありません。
また大きな負荷がかかればかかるほど金属疲労の進行も早くなります。
落車などで大きな負荷がフレームにかかった場合、一見大丈夫でも金属疲労が多大に進行してる恐れがあり、少ししたらいきなりクラックが入るなんてことも考えられます。
この金属疲労はある種の寿命なので回復させることはできません。
それを考えるとアルミを手放しで耐久性があると考えることはできません。

で、次にカーボンです。
これは金属ではないので疲労限界点はありません。
ただ、カーボンは使い込むとへたってくるという話があります。
以前のサイスポで特集をしていましたが、欧州プロレーサーの殆どはへたりを感じていてシーズン中にフレームを変えることがあるそうです。もっとも、そのときサイスポがやった実験では数字上では使用したフレームと新品のフレームで差はありませんでしたが・・・
しかし、へたりというのはあるかないかはおいとて、それ自体は故障や破損ではありません。
性能劣化の一つです。使えなくなるって訳じゃありません。
カーボンは壊れるときは一気に壊れてくれます。クラックや破断などがしっかりおきます。
それまで大きな歪みなどが現れることはありません。
そう、この壊れるときは一気に壊れてくれて、歪みが出ないという点に私は注目してます。
そもそも耐久性って?と考えたとき壊れるまでの使用時間や距離の長さがあると思います。
それに関していうとアルミはどんどん疲労が進行していくので必ずありますが、カーボンの場合はへりはあるものの、 一応そういった疲労で壊れるということはないようなのでここの点を単純比較するとカーボンの方が良さそうです。
次に、歪みについて。
アルミは金属なので展性延性があり、強い力がかかればその通りに変形し歪みます。更に金属疲労も進行します。
ところがカーボンは金属ではないので歪みません。その代わり壊れるときはあっさり壊れますが歪みがないので壊れるまでの構造的な悪影響は少なくなります。
ホイールのリムで考えてもらうと分かりやすいのですが、アルミリムだと使ってると歪んで振れが出ます。カーボンだとそもそも歪みがでないので振れがあまり出ないそうです。
プロチームのメカニックの話などでもカーボンにしてから振れ取りの頻度が下がったそうです。
これは私個人の考えですが、私の中で悪影響は

構造的な悪影響 > 性能劣化による悪影響

という順位になってると思います。
そうなると構造的な悪影響が少なそうなカーボンの方が壊れるまでのことを考えるとトータルでの悪影響、性能低下が少なくなりそうです。
この2点を考慮するとアルミとカーボンの両者には耐久性だけで言ったらあまり大きな差がないのでは?と感がるようになりました。
特にアルミの疲労は厄介です。各所で最高のアルミフレームと名高いCAAD10がありますがアレはおそろしいほど薄いアルミパイプを使って作られています。
アルミはパイプの径を大きくすると肉薄にしても強度を出すことができるので十分軽量にできます。
ただし、素材の量が減るのでより金属疲労に弱くなります。
CAAD10の採用を見送った理由に以前BB30を挙げましたがここも一つの理由です。
耐久性で言ったら、1150gのアルミのCAAD10と同重量のカーボンフレームを比較した場合、恐らく耐久性があるのは後者のカーボンです。
CAAD10の方は無理をしたでた1150gです。カーボンでの1150gは無理をして出したというものではありません。
CAAD10はフレームセットで12万円。この金額をだせば最近ではカーボンフレームは手に入ります。
そうなるとアルミを信用して、軽くて耐久性があるからCAAD10を買うのはあまりいい選択ではないと思います。
そうではなく、耐久性に不安が残ることを理解して、アルミの乗り味と軽量性を求めて買うのはありだと思います。アルミにはアルミの良さがありますから。
そこは耐久性とは別の話になるのでカーボンの方が優れてるとかどうこう言えるものではありません。

耐久性というのは、かなり重要です。
私たちはプロではなく資金も全て自腹ですから、ここはランニングコストにかなり影響してきます。
しかもそのランニング中、所謂運用中の性能低下は極力避けたい。
またイニシャルコストも考えなければなりませんが、最近ではどんどんカーボンの値段が下がってるのでそこまで深刻にならなくても良い場合が増えています。逆にアルミは割高になってきてる気がします。
もちろんここに好みの話を入れると色々変わってきますが、耐久性という観点をいろいろ考えるとカーボンって悪くなさそうだ!って話でした。
実際私も、次にレース用フレームを買うとしたらカーボンになるでしょう。
アルミの乗り味は捨てがたいですが、その乗り味の味付けは他のパーツで付けることもできそうですし・・・
それまでにどこまでカーボンの値段が下がるかな?
個人的には値段は下がらなくても良いから耐久性を重視した、ガンガン使えるようなカーボンフレームが増えてくれると良いのですが・・・壊れなくなると自転車屋さんとメーカーが困りますね(笑)
では、今日はここまで。

0 件のコメント:

コメントを投稿